喫禾了×米生産者×器作家×次世代 が作り上げる飯椀のプロジェクトの進捗について、随時報告をあげてゆこうと思います。まずはその第一弾。
このプロジェクトに関しては前回、スタートアップのお知らせにとどまっていましたが、
まずは改めて、筆者がこのプロジェクトを実現したいと思った理由や、プロジェクトメンバーとしてお声かけした方々への想いに、少し触れておきたいと思います。
喫禾了というのは、それ自体が、筆者がこの先もっとも大切に育ててゆきたい、お米を核とした私自身のプロジェクト名で、「お米のある日常と当たり前のことを尊ぶ」をコンセプトにしています。
これまで食のお仕事に長年関わらせていただく中で、多くの素晴らしい場面を経験させていただきましたが、ずっとこの先も長く、自分自身が心の底から大事だと思うこと、大事にしてゆきたいことって、、?ということが長らく頭のすみにありました。
そのひとつの答えが、『お米』。
お米は、ご飯としていただく以外にも、お米からできる調味料として、味噌、酢、味醂、酒などがあります。筆者も毎日必ず使う調味料ですが、そういうことからも、お米は日本の食文化を支える、とても大事な存在なのだと思います。
喫禾了としてお米や調味料の作り手さんを取材することも増えてきました。
だれが、どこで、どんな風にそれを作っておられるのか。
足を運び、自分の目で見て実感をすることで、自分が生まれた日本という場所の食文化への理解が深まる気がいたします。この先もまた更に、続けてゆきたいと思います。
さてその一方で、ご飯をいただく器について。
当たり前の日常の中で、ご飯をいただくシーンにご飯茶碗は必需品ではありますが、
だれがどう作っているのか、どうしてこの形なのか、よい器とはどういうものを指すのか、
といったことを考えるのは、あまり一般的ではないかもしれません。
ですが、日常の当たり前のことを大切にする、という喫禾了の考えとしても、
毎日使う器の器づくりを一から追いかけることで、
その一般的ではないかもしれないことへの理解を深めつつ、
お米をいただくことへの感謝に繋がるような存在として、
喫禾了のコンセプトを体現する飯椀を作りたい、と思ったのでした。
そこで、ご相談をもちかけたのは、木と漆の作品を造られている木工家・漆描家の色英一(shiki eiichi)さん。
木を削り、漆と画を作品にほどこされます。彼曰く、木を料理する料理人なのだ、と。
数年にわたり個人的にもお付き合いのあった作家さんではありましたが、
筆者としては、ご飯の器を木と漆で作りたい、ということと、
そして、たぶんこの方ならば、喫禾了の考え方を理解してくれるんじゃないか、ということから、彼しかいないかな、と思いました。
もしくはそもそも、彼の存在ありきで、飯椀プロジェクトを実現できるイメージが持てたのかもしれません。
もちろん、陶磁器の飯碗も素晴らしいですし、日頃気に入って使っているものもあります。
筆者は、陶器、磁器、木椀、と、あまり固定せずに使っているのですが、
木椀の手にやさしくなじむ感触は特別だと感じます。
また、こんなお話も。ご飯を入れるお櫃(おひつ)はだいたい木製ですが、木であることで、ご飯の温度がゆっくりと下がり、その時間を経ることでお米の甘みやうま味が出るそうで、飯椀にもそれが期待できると聞いたことがあります。
お米のおいしさを引き上げる存在、ということもポイントでした。
はじめに色英一さんと、この器づくりについて、どこを目指してゆくか、という協議をしました。
彼からの言葉。
「飯椀を作るとして、ただ、機能的なことや、見た目の良さや、そういうことを僕に求めているんではないよね?」と。
はい。その通りで、一緒に取り組みたい大きな理由は、
この器で食べるご飯は特別に感じられるような、
器を丁寧に扱うことが当たり前だと思えるような、
ご飯をいただくシーンが大切に思えるような、
そんな器ができあがるイメージがあるからです。とお伝えしました。
たぶん、彼の日頃の他の作品づくりにも、通じることのような気がします。
彼の作る作品は、とにかく美しい。
華美ということではなく、美しいと感じるのには、さまざまなことがこまやかに考え抜かれている証だと感じています。
色英一氏のインスタグラム
そして、プロジェクトとしての大きな特徴がもうひとつ。
色英一さんには、特別に、飯椀が出来上がるまでの工程を公開いただけることになりました。
喫禾了のこのサイト内で、記事としてご紹介して参ります。
制作にはどんな工程があり、作家さんが何を考え、どんな手間をかけているのか、なかなか知りえないことだと思います。
そしてそれを、プロジェクトメンバーでシェアし、都度、意見交換をしながら進めてゆくことを快諾いただきました。
いろいろなコミュニケーションを取りながら、無事に、飯椀プロジェクトを進められることになりました。
木の器に漆をほどこした飯椀を一から作るには、出来上がるまでに、約1年を要するそうです。今はそのスタート段階。
今後、その経過を随時、記事としても報告して参ります。
また、Instagramの喫禾了のアカウント@kikkaryoでは、喫禾了と色英一氏とのライブミーティングを公開しています。それぞれの人柄やこだわりが窺い知れると思います。
インスタライブ限定公開ですので、よかったらフォローしていただけたら幸いです。