![喫禾了と漆描家・色英一氏の共同開発プロジェクトによる、漆器の飯椀がいよいよ手元に。限定20点、販売も開始いたします。](https://uploads-ssl.webflow.com/6287556abe5b040eaec5a42b/66624c2853adafc68d1d2eb4_K03_0493.jpg)
飯椀プロジェクト vol.5 飯椀の完成
![オリジナルの飯椀の試作木地が届き、試作塗りへと進行中。色英一氏のアトリエを訪ね、制作風景を取材しました。](https://uploads-ssl.webflow.com/6287556abe5b040eaec5a42b/63f1b2927d7541ba1eb0a15e_K01_1334.jpg)
飯椀プロジェクト vol.4 作家の横顔
![色英一氏からご提案いただいた2つのデザイン案。それぞれのデザイン意図と、米飯食の歴史、喫禾了のコンセプトなどから、方向性が決まりました。](https://uploads-ssl.webflow.com/6287556abe5b040eaec5a42b/63d2001de6a270cb54f3580e_K01_1056%20%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%81.jpg)
飯椀プロジェクトのスタートをきり、完成までに約1年を要するということで、
その間、どんな工程で制作が進んでゆくのか、色 英一(shiki eiichi)さんに伺いました。
プロジェクトとしても、全体の流れを把握させていただくことで、重要なタイミングでまた改めてお話を伺ったり、状況を公開したりと考えています。
色英一さんの場合は、まずは手書きの鉛筆のデッサンから始まるとのこと。
それを元に、全体像がつかめてきたら、CADの図面に落とし込みをし、そこで微調整を繰り返します。
さらに、ここからが、色英一氏独特の手法ということですが、エクセルで数値表を作り、タテヨコ比、黄金比、などを元にして、図面に落とし込んでゆくのだとか。それにより、氏特有のデザインが生まれている、ということです。
どのように販売するか、作品を世に生み出すにあたって何を大事にしたいか、という点をクライアントと協議。
それによってコストは決まってくる、ということでした。
ここについては特に、喫禾了の意思やコンセプトと関わりがある部分です。
最終の販売価格にも大きく関係するので、なるべく手に取っていただきやすい価格、ということは考慮したいところですが、それを上回るのは、
・作る工程や出来上がりに妥協のない本物であること
・どこにもないデザインであり、作家さんの意匠や漆器としての美しさを表現しているものであること
・手にしていただく方に、作品の背景までも愛着を持っていただけること
ということを前提としたいとお伝えしました。
特に、喫禾了のサイト内や、インスタライブなどでも、色 英一さんには、制作工程やさまざまな知識を特別に公開いただいています。作品の背景として、アーカイブでもぜひご覧いただけたらと思います。
そちらでも、氏が貫いておられる、まったくごまかしのない、こだわりの制作風景を感じていただけることと思います。
そういったことを踏まえて、デザイン、コスト、制作数量、制作期間、完成後の販売方法などを協議の上決定し、契約締結となります。
ここから、実際の制作に入っていきます。
木地というのは、漆を塗る前の木を器の形に切り出した、器のベースとなるもののこと。
今回は、木地制作専門の業者さん(木地屋さん)に制作をお願いすることになりました。
発注の際は、こまかな図面での指示はもとより、木の種類、木を柾目(タテ)で使うか小口(ヨコ)で使うか、といった細部まで指定するとのことです。
試作品の制作期間は約2カ月が目安。
試作品が届いたら、すぐに漆を数回塗り、ひとまず使える状態にしたら、使用感の確認をします。
そこで問題があれば、修正をして再試作。(再試作の場合はまた更に2カ月を要します)
試作品にてベースが固まったら、本制作の発注となり、その木地の納品まで、約8カ月を要します。
その間の作業としては、木地屋さんの特性にもよるそうですが、おそらく木から半乾きで粗どり、様子をみながら乾燥、削りながら本格的に乾燥。と繰り返していくだろうということです。
どこで冬と梅雨をはさむかで工程がかわってくるそうですが、乾燥度合いによっては、8カ月よりも短くも、長くもなる可能性があるのだとか。自然のものを自然の中で扱うからならではの工程です。
ここからが、漆をほどこす工程になります。
木地が届いたらまずは、すぐに開封して、すべての木地になるべく早く漆を浸透させるという作業が大事なのだそうです。
しゃばしゃばとした漆をたっぷりと浸透させる。ここで器の強度が決まるとのこと。
これを1~2回すると大きくゆがむリスクがないそうで、とても重要な工程のようです。
これも含め、作品として完成するまで、およそ40~50回と塗りを繰り返し、最終仕上げとなります。
こうして工程をご説明いただくと、木の特性にも、漆の特性にも親しみ、使い手としても、さまざま細やかな視点をもっての制作であることと、よくわかります。
喫禾了としては、実際の制作に進むにあたり、作品の一点一点に何がこめられているかを、しっかりと広くお伝えしていきたいと思います。
※文中でも書きましたが、Instagramの喫禾了のアカウント@kikkaryoでは、喫禾了と色英一氏とのライブミーティングを公開しています。
制作に関わるミーティングをライブ上で行っており、インスタライブ限定公開となっています。よかったら@kikkaryoをフォローしていただけましたら幸いです。