9月の初旬から始まっているという稲刈り真っ只中に、
新潟県上越市柿崎区で米農家を営まれている、岸田ライスファームさんを訪問してきました。
https://r.goope.jp/kishidaricefarm
訪問の目的は、今年の稲刈りの取材と、あるプロジェクトのお話し。
訪問メンバーは、プロジェクトメンバーでもある、喫禾了スタッフと、
14歳の壱之介くん、木工・漆器作家の色英一(shiki eiichi)さん。
プロジェクトに関しては、別の記事で書かせていただくこととして、
稲刈りの現場に足を運ぶのは、筆者はじつに30年ぶりくらい。
稲刈りというと、天候との勝負になるわけですが、訪問の数日前の天気予報を見ると、
訪問日の9月19~21日はなんとすべて雨予報、、
岸田ファーム代表の岸田さんからは、「だれか雨男か雨女いるの??」と。。。
運悪く、台風14号が直撃の予報で、それる気配はなし。
それでも、と祈りながら迎えた訪問日は、出発は雨の東京でしたが、目的地では奇跡の晴天!
それに加えて、台風の影響のフェーン現象で、気温はなんと38℃越え。嘘みたいな猛暑日でした。
柿崎は海沿いの町。暑さにのせられ海辺でついはしゃぐ。
農家さんは晴天のタイミングに集中して稲刈りをされるので、明日からは確実に雨、という中、とてもお忙しくされている圃場にお邪魔を。
今年のお米の出来や、どんなところで刈り時を見るか、などをご教授くださいました。
稲穂を見て、籾の粒が全体の7割くらい黄色く色づいていたら刈り頃なのだとか。
岸田さんは、数か所に分かれている広大な田んぼの生育具合の管理をし、天候との兼ね合いをみて、刈り時の稲から刈る。
そしてそれだけでなく、ある程度まとめて刈った稲は、籾摺り(もみすり)という工程に。
※籾摺りは、籾殻を除いて玄米にする作業
刈っては摺り、刈っては摺り・・・
それらの工程をすべておひとりでされていると。
「おひとりで大変ですよね。」と言いましたら岸田さん、「気楽でいいですよ。」と。
稲を刈るトラクターの運転席はなんとクーラー付きで快適で、「農家はつらいなんて、そんなことないよー。じゃないとだれもやらなくなっちゃうからね。」
そんな風におっしゃりながら、田んぼは完璧に管理されていて、すべての田んぼの工程スケジュールの組み立ても綿密。
作業がつらくないというのは、岸田さんの生育プランニングや一見した我々では計り知れないこまかな工程の技術のたまものです。
25年にわたり、おいしいお米を作りつづけているプロの風格。
岸田さんと筆者とのお付き合いはここ10年ほどです。
はじめは、筆者が懇意にさせていただいている同じく柿崎の頚城酒造さんからのご縁でした。
酒造りのための酒米づくりをされている農家さんとしてご紹介いただいたのがきっかけです。
(食用米と、酒仕込み用の酒米も生育しておられます。)
酒蔵さんは、いい酒造りは、いい米と水。人間が造るわけじゃないんですよ、とおっしゃいます。
それだけに、味覚の評価はとてもシビアで、その品質を担保するお米を作り、さらに、農閑期の冬には、酒造りの蔵人として酒蔵に入られます。
酒造りからみたお米とは、ということも、熟知されておられる農家さんです。
さて訪問の最終日、岸田さんが、日中の稲刈りの合間に、素敵なイベントを企画してくださいました。
柿崎区内には、日本百名水のひとつ、大出口泉水の湧き水が湧き出る場所があり、
位置する山の中腹からは、風光明媚な棚田の風景が広がります。
その場所で、岸田さんの新米と、湧き水で米を炊き、岸田さんが湧き水で養殖をされているイワナを釣って塩焼きにして食べる、というのはどうですか?と。
しかも、ご飯を炊くのは「ぬかくど」という米炊きのかまど。
喫禾了の「ABOUT」や「喫禾了のはじまり」という記事にも登場する、筆者の生家での想い出深い炊飯道具です。
米の籾殻を燃やして炊き上げる仕組みは米どころならではかもしれません。
この「ぬかくど」については、別の記事でまた詳しく書きます。
さて、お米の炊き上がりにぴったり合わせてイワナも焼けて、絶景を一列に臨み白飯をいただく。
圧倒的な自然。
そこに対峙しながら、食べる人を感動させるお米を作るって、ものすごくカッコいいなぁ、と、
本人には言わずに帰ってきたので、この場でお伝えすることといたします。